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漂流するトルコ―続「トルコのもう一つの顔」
 
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漂流するトルコ―続「トルコのもう一つの顔」 [単行本]

小島 剛一
5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (13件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

政府に弾圧され続けるトルコの少数民族の言語と、その生活の実態を、スパイと疑われながら、調査し続けた著者。前著『トルコのもう一つの顔』(中公新書)が、まるで推理小説のようなスリルに満ちた物語と、著者の少数民族に対する愛情に涙が出たと絶賛され、長らく続編が待望されながら20年。前著でトルコを国外追放されたあと、再びトルコへの入国を果たし、波瀾万丈のトルコ旅行が開始される。著者の並外れた行動力と、深い知識、鋭い洞察力が生み出した画期的トルコ紀行。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

小島 剛一
1946年、秋田県生まれ。1978年、ストラスブール大学人文学部で博士号を取得。専攻は言語学と民族学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 349ページ
  • 出版社: 旅行人 (2010/09)
  • ISBN-10: 4947702680
  • ISBN-13: 978-4947702685
  • 発売日: 2010/09
  • 商品の寸法: 18.6 x 11.6 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (13件のカスタマーレビュー)
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良くぞ出してくれました。

 前著も泣けましたが、今度の本も号泣ものです。今度の本の中に、前著出版のいきさつが書かれていますが、それを読んで、実はいかにも中公らしいクールな編集になっていた理由が理解できました。しかし、今度の本は書きたいように書けたのでしょうね。おそらく版元としては脚注のつけ方にもこだわる著者にはたいへんだったでしょう。ですから、今度の本のほうが、小島大先生(評者は不遜な人間なので人を尊敬することがあまりないが、この著者に対してだけは敬意を表さざることあたわず)が、とてつもなく巨大なただのおっさん(もちろんすごいおっさんなのですが)であることがよくわかります。

 実名入りで活字にできない罵詈雑言をぶちかまし、ヒマラヤをゴムぞうりで歩いているときにフランス人から本にしたらといわれてその気になって突然モーレツに執筆を始めたり、はたまた、言語学の調査にしか興味がないかと思いきや、観光ポイントはしっかり押さえていたり、調査を早めに切り上げては、皆既日食を見にいったり、あるいは、昼間からアルコールを飲んでいるところを誰かに見られたらと逡巡したり、実は、SFマニアだったりとか、ただの好奇心旺盛なおっさんとしての姿が目に見えるようです。しかし、ただのおっさんであることが不思議と感じられる連中が現実にいるのです。「先生は不思議な方ですね。決して政治思想や経済体制の議論には加わらないのに、言語に関しては私たちに言いにくいことをずばりと言ってのける。動詞の活用だとか諺だとか民謡だとか、浮世離れしたことだけを調べているのにラズ人やクルド人の心を惹きつける」とはトルコの諜報機関員の言ですが、不思議でもなんでもなく、この巨人の目はちっぽけな地面を這いずり回って生きている、ただの人々の苦しみや悲しみを見通す繊細で人情にあふれ、かつ少しだけ口うるさいおっさんの目なのですから。それは、政治やイデオロギーといった大きな物語に曇らされた目ではありません! 曇った目を持っているのはトルコだからでしょうか?イスラムだからでしょうか?間違いなく、そうではないでしょう。われわれ自身もその曇った目を持つひとりです。今流れているさまざまなニュースを見ればすぐわかります。
 この巨人は、どのような状況にあっても、誰に対しても、そのようなまなざしを持ち続けます。その言語能力にも驚嘆しますが、言語が自己目的化することはついにありません。巨人にとっての言語は研究対象であると同時に、「ひと」を理解するための手段なのです。だから、この巨人は結末部分に登場するいつの間にか著者を閣下と呼ぶようになった監視役の警察官の目元に現れた深い苦悩と悲しみを見逃しません。その苦悩を言語学者であるのに無言で、そして一瞬で理解します。その圧倒的な人間理解の重さがあるから、今回も号泣ものだというのであります。
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未曾有の体験 2010/9/18
By mkm1978
とても星五つでは足りません。

著者の小島剛一氏が専門とするのはトルコ、民族学、宗教学、言語学。『漂流するトルコ』はこれらに関心のある人にもない人にも、まずとにかく面白く、興奮と感動に満ちていて、かつ非常に勉強になる本です。

基本的には前著『トルコのもう一つの顔』の続編ですが、小島氏は前著を未読の人のために、その内容を本書の中できちんと要約、紹介してくれるので、前著を未読であっても問題はありません。もし前著読了済みであれば、この続編の執筆まで何故これほど時間がかかったのか、そのいきさつ、さらに前著が執筆、出版された過程そのものもつぶさに知ることができ、より深い読書体験になると思われます。

日本にまでなかなか伝わってこない、トルコをへめぐる政治状況、その報道内容と報道自体のあり方を知悉する著者によって、それらが非常に明晰な日本語で綴られています。といっても無味乾燥な文章の羅列とはほど遠く、生々しく躍動感に満ちた体験が読者の眼前に迫ってきて、一度読み出すと興奮のるつぼになり、中断することができなくなるはずです。

苛酷な政治状況の中で幾年ぶりかに実現するトルコの人たちとの(最後の)再会……。眼を背けたくなる(背けてはいけない)惨たらしい事実と、かの地に生きる人びととの交友、その温かみ(そして裏切り……)。それらすべてが自分に突き刺さってきて、読了後はいてもたってもいられなくなると思います。

僕はこの本の著者、小島剛一氏と直接話したことがありますが、この本に書かれたトルコに関する教養は、氏の持つ非常に豊かな教養と見識の、ほんの氷山の一角です。この短い書評(と数冊の著書)の中ではとても書き尽くせぬ経験をしてこられた方です。
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By dttiar
外国人でありながら情報機関幹部や外交官に国内問題についての助言を行い、一国の民族政策に影響を与え、トルコの新聞で見出しを飾る男・・・。こう書くとフィクサーめいた人物かと思えるかもしれませんが、実際の所、彼は安宿を泊まり歩いて地道なフィールドワークを重ねる一研究者なのです。

前著では編集者の薦めに従って抑制されていた筆調は「漂流するトルコ」では打って変わって開けっぴろげになってます。
傲慢な高級官僚や無礼にふるまう秘密警察員に対して反発を示すのはまだしも、抑圧され続けてきた少数民族出身の若者の不作法にも筆者は容赦ないどころかそれ以上に激越で、当惑さえ覚えました。クールな小島剛一を期待していると今回は肩すかしをくらうでしょう。
とはいっても、権力に関心がない者は、「反権力」に対してもまた無縁であり、「言語-方言」という上位・下位を定める構造に徹底的に異を唱える作者にとって、世界は限りなくフラットなのだと個人的に理解させて頂きました。

ようやく入国禁止処分を解かれた著者が知人たちと再会するところから物語は動きます。前書では特に名前を触れられる事のなかった人たちも、今回は役付き(?)で登場です。20年もの歳月を超えた贈り物について口にする青年、著者の問いかけに対し「それはどういう事かわかるでしょう?」と答える少女、幼少時にトルコへ移住してきた「親方」の帰郷、苦悩の末に棄教の道を選び、そして今は死の床にある友人への届け物・・・。
出自も慣れ親しんだことばも公にする事を否定された人々が練達のことば使いと時間を共有する事によって自らを再発見していきます。

トルコや言語学といったジャンルにとらわれない本です。「自由」という文句に関心のある方、すべてにおすすめします。
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濃厚で重厚で深奥。
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