平凡な女性会社員が勤務後、同僚と始めた飲酒から徐々にアルコール依存症に陥り、結婚して子供が生まれた一時期を除き、酒に溺れていくばかりであった。
本書はその病との壮絶な戦いの末に克服していく様を静かな筆才で語りかけてくれる優れた逸品である。文章の達人ではなかろうか。短編にもかかわらず卓越した物語構成には脱帽する。そして本書に登場する筆者のご主人と看護師の優しい眼差しには感動を禁じえない。
欲を言うと、どうしてそこまで溺れるほど飲まざるをえなかったのか、もう一歩、心の病であることを突き詰めてほしかった。しかし、世間の誤解や偏見が付きまとうにもかかわらず、自分がアルコー依存症であることを実名で小説の形で現した筆者に拍手を送りたい。
アルコール問題で悩む本人や家族には必見の書といえる。しかも近年、若い女性のアルコール依存者が増えているのが現状である。
原作は篠原涼子主演でテレビドラマ化され,2005年3月1日に日本テレビ系で全国放映された。篠原涼子演じる役は、主人公が七転八倒して苦しむすざましい姿を、本物のアルコール依存者ではないかと思わせるほどの迫力に満ち、見る者を驚愕させる見事な演技だ。
表題作以外にも、エネルギッシュに生きる女性の逞しさと、それを表現する見事な文章力には感銘を受ける。これも併せて読まれることをおすすめしたい。藤崎 麻里さんの,その後の作品か文章にお目にかかりたい。