日に9000のアクセスを誇る老舗経済サイト「溜池通信」の、筆者自選による珠玉エッセイ集。
評者は「溜池通信」、わけても「かんべえの不規則発言」の愛読者であるが、とても面白く拝読した。
何しろ1999年以来11年も続いているサイトである。愛読者は多いに決まっているが、通読した読者はそうはいないだろう。筆者は親切にもバックナンバーをすべて公開してくださっているが、読者であるビジネスパーソンたちに、あの膨大なアーカイブを読み通す時間があるとは思えない。記憶力の悪い評者など、日付的には「読んでいるはず」のエッセイも初見の気分で読み、たいへん面白かった。サイトの愛読者であっても、よほど記憶力の良い方以外、十分に楽しめるはずである。
また、「11年」という「時間の経過」を感じられるのも感慨深い。「そういやITブームなんてものがあったねぇ」みたいな(笑)。この11年というのは日本経済にとっても激動の時代だったのだなぁというしみじみした思いにひたれる。こういうのが「老舗」の力というものなのであろう。
最後に「この本ならでは」の特典が、挿絵マンガである。かんべえ氏のエッセイに、ジャストフィットなマンガがついている。文章との相乗効果で「くすっ」と笑わされてしまう。実に楽しかった。これはネットでは見れません!(笑)
あ、もちろん「溜池通信」を未読の方にも強くお勧めする。面白くて、しかも経済の結構大事なことが分かるんである。日経新聞になんとなく「敷居が高い」と感じていらっしゃる方、とりあえず読んでみてください。損はしないと思います。