冨田勲氏はシンセサイザーによるクラシックの作品が有名ですが、NHK大河ドラマや山田洋次監督作品の音楽を数多く手がけ、作曲家としても非常に優れた作品を多く残しています。それら映像作品の音楽でもこれまで聴くことが出来ましたが、ことに、日本的要素をきらびやかに描くオーケストレーションの色彩感、従来の伝統的西洋音楽と一線を画した和声・旋律の美しさは、他の追随を許さないものがあります。
この『源氏物語幻想交響絵巻』は、その冨田ジャパネスク作品の集大成といえるでしょう。メインテーマともいえる『桜の季節』のいつまでも耳に残る旋律の美しさ・官能美、ところどころにちりばめられた『歌』の気高さ、まるで映像を見るような『浮遊する生き霊』の凍りつくような恐ろしさ…。非の打ち所がありません。また、往年の名作、NHK大河ドラマ『新平家物語』テーマが、冨田氏の指揮で再録されているのも聴き応えがあり、うれしい限りです。
日本に冨田勲という優れた作曲家がいることを感謝したくなる。そんな秀逸な作品が収められたCDです。