を、ざっと習う感じです。
源氏物語が紫式部によって書かれてから、二百年。もう源氏物語が「古典」となった鎌倉時代の藤原定家を皮切りに、江戸時代の本居宣長までの日本、そしてイギリスのアーサー・ウェイリーの翻訳による世界の反応―と、歴史の中で、どのように源氏物語が扱われてきたのかが、本書の内容です。
文学史的に価値のある、源氏物語に関する文献(河海抄・湖月抄など)の位置づけも、知ることができていいのですが、この本の面白さは、源氏物語という小説がたどってきた歴史にあります。
王朝美学の集大成として、読書階級だった貴族によって、源氏物語が次第に権威化をされていき、「古今伝授」という家元制の学習スタイルまで作られていたというのは、驚きでした。
江戸元禄期の出版文化によって、始めて源氏物語が大衆化されます。「古今伝授」ふうの倫理・道徳・政道に照らし合わせた解釈から、「小説」としての鑑賞や評論がなされるようになるまでに、ずいぶんと長い歴史を辿ってきたのです。
古典は、それを次代に伝える努力をしてきた人たちによって支えられているということが、よく分かりました。