光源氏は、なぜ「光る君」なのか?
「あなかしこ、このわたりに若紫やさぶらふ」と『紫式部日記』に記されて千年。
以来、日本固有の美意識の源流として称揚されてきた『源氏物語』だが、果たして、本当に和の文学の極地と言えるのか。
7歳で異国人である高麗人と出会い、その予言を起点に権力への道を歩みはじめた光源氏の物語を、東アジア世界からの<モノ・ヒト・情報>を手がかりに捉え直す。
『源氏物語』の古代東アジア世界に屹立するヒーローの物語として読み直す、気鋭の野心的試み。
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
舶来品でたどる栄枯盛衰,
By 白河夜舟 (東京都国立市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 源氏物語と東アジア世界 (NHKブックス) (単行本)
この表題から期待されるものは、一つの歴史時代の作品として源氏物語が「東アジア世界」をどのように反映しているかということである。本書が幼少の光源氏と高麗人の観相人との出会いに始まることはそのような期待を高めてくれる。当時の日本の宮廷、貴族社会が中国の詩文を愛好し仏教的世界観の影響下にあったことは広く知られている。しかしそれ以外にどのような国際的な(中国に限らず東アジアからの)文化の影をこの作品の中に認めることができるだろうか。残念ながら、「東アジア世界」という表題への期待は次第に後退して行く。本書で「東アジア世界」によって表現されるものはもろもろの舶来の財物である。それは毛皮、香料、あるいは工芸品などであり、それを所有する者の富と権威を表徴する。著者は作品の中からそれらの品々を丹念に拾い出して立証につとめる。そのことが興味を引かないというのではないが、それが「東アジア世界」であるというのは行き過ぎている。 著者の主張したいことは「国風文化」なるいわば国粋的な狭い文学史観の中に源氏物語の達成を取り込もうとする傾向を打破して、それをより広い東アジアとの交流の中に位置づけることであろう。その狙いは良いとしても表題の意図するところはやはり本文の文意と文脈の中にこそ求めるべきではないだろうか。
10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
源氏物語と東アジアの深い関係,
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レビュー対象商品: 源氏物語と東アジア世界 (NHKブックス) (単行本)
平安時代の遣唐使廃止で日本は独自の“国風文化”が興隆したと学校で学んだ。その“国風文化”全盛の時代に生まれた日本が誇る文学「源氏物語」と東アジア世界…一見すると、どんな関わりがあるのだろうと思われるかもしれない。 しかし「源氏物語」において、光源氏は幼くして渤海国(高麗人)という異国人と出会うことに始まり、作中には唐物(=舶来品)という当時にとって高価な品物が次々と登場する。 本書を読み進むにつれ、「源氏物語」と“東アジア世界”との密接な関係が鮮やかに読み解かれていく様子は快感でもある。 「源氏物語」を一読したことがある全ての方におすすめしたい一冊。
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