現在の中国東北部、旧満洲に走っていた特急「あじあ」号の雄姿を沢山の写真で見ることができます。
戦前の日本は、満州を支配することよって国内問題も紛争処理も解決を図ろうとしていました。それらの国策に乗って、大連などは素晴らしい西洋風の建造物を擁する東洋のパリとも称えられる美しい都市へと変貌していきました。それらの現在の姿も写真で収めてありますし、現在の中国の鉄道の旅も併せて掲載してありました。
最初に昭和10年当時の日本・朝鮮・満洲国の鉄道地図が掲載してありました。国内もそうですが、大陸への夢をもたらした鉄道網の広がりを視覚で捉える事ができます。67ページには当時発行された鉄道地図(朝鮮、満洲、台湾、樺太南部)も見開きで掲載してありました。これがもう少しページをとって大きく引き伸ばしてもらうともっと見やすかったのですが、貴重な地図ですね。
田中完一氏の「欧州連絡、夢は遥かヨーロッパへ」で語られる内容や当時の玄関口の一つの敦賀港や敦賀駅の威容を見ると、大陸との大動脈であった時代が伺えます。
12ページからは、特急あじあ号の走る姿をしっかりと掲載してあり、当時の日本人には実にエキゾチックな旅だったということは想像できます。
往時の鉄道を知るだけでなく、現在の中国東北部の鉄道事情を知る上で欠かせないムックとなっています。結構多くのジャンルにまたがりますので、広い範囲で関心を集めるのではないでしょうか。豊富な写真と資料が魅力です。
本書の主な内容です。昭和十年の鉄道地図、時代の証言者、グラフあじあの時代、昭和十二年満鉄「あじあ」がゆく、欧亜連絡国際列車時代 鉄路の要衝 長浜・敦賀・釜山、パシナとその一族 南満州鉄道の蒸気機関車、多彩を極めた満鉄の事業展開ほか