満里奈さんの本を読んで感じたのは、旅人としてのお行儀の良さです。最近ありがちな旅先への甘えを期待した「ふれあい系」旅行(つまり「日常生活の真似事をした非日常体験願望」の旅行)とは違う、あくまでも「私は台湾のお茶と食事を楽しみにきた」というきちんとした態度が根底にあるのが解ります。どんなに台湾の人達が彼女によくしてくれても、それに対して甘えない礼儀正しさが常に見え隠れしています。旅先の人達には彼らの日常生活があり、そこに自分はちょっとだけお邪魔させていただいているのだという、旅人としてのきちんとした認識があるからこそ書ける文章です。昨今ありがちな自分が楽しむために周囲を巻き込むスタイルの外国旅行ものとは違い、自分も楽しむけれど、他人に迷惑かけずに節度を持って楽しもうという旅人としての基本中の基本を貫いている本だなと思いました。これを読んで、それまで好きでも嫌いでもなかったのですが、渡辺満里奈さんという女優さんに好感を抱くようになりました。