麻雀の心得がある方なら理解いただけると思いますが、麻雀は運に左右される部分が少なくありません。
故に「プロ」を名乗るものが、素人に負けてしまうということもしばしば起こります。
例えば将棋や囲碁ではプロが素人に負けることなどあり得ないことで、相手にハンデを与えても勝ってしまいます。
この点を考えると麻雀プロというのは「プロ」という肩書きを持った一般人と言ってしまえるのかもしれません。
片山まさゆきは、そのようなプロの中に確率論をはるかに凌駕する勢いで勝ちきってしまう天才が存在することを知っています。
以前に「言霊マンボ」を描いたように、麻雀の真の天才を描きたいという欲求が彼の中にはあったのでしょう。
本作で片山まさゆきが描くのは、積倉という勝負の流れをいつのまにか自分のものにしてしまう不思議な雀士です。
これは個人的な意見になりますが、片山まさゆきが描く天才には今ひとつ魅力がありません。
「ドトッパー」の理想雀士や「オカルティ」の刈人、「言霊マンボ」の多口がその代表です。
一方で「ノーマーク爆牌党」があれだけの名作になったのは、鉄壁をはじめとして精一杯戦って負けた者の姿が丁寧に描かれていたからです。
片山まさゆきのストーリーテリングの妙は敗者の負けっぷりにあると言っても言い過ぎではないでしょう。
「ツモクラテス」では、天才の陰で負け続ける人間をどれだけ真摯に描いてくれるのか、それが今後の盛り上がりを左右するのではないかと思います。
「ドトッパー」のように「頭」の取り合いだけで終わって欲しくないというのが素直な気持ちです。
ちなみに本作ではあっと驚くゲストスターが登場します。お楽しみに。