約100年前のニューヨーク州の山間に、木の枝を編む「かご」作りの名人たちが住んでいました。九歳になった「ぼく」は、明るい「満月」の夜、初めてかご売りに町まで連れていってもらいますが、「山ザル」の「おんぼろかご」とののしられて……。
自然の恵みを生かし、丈夫なかごを作りだす素晴らしい技術を持っているのに、田舎に住む人たちへの、町の人間のおごりが、少年の多感な心を無残に傷つけてしまいます。物を消費することをエライと勘違いしている、かわいそうな人たちはいつの時代にもいるのです。でも、少年は「風のよぶ声」を耳にし、信じるべきものは何なのかを悟り、大人になっていきます。
少年の表情の移り変わり、かご職人たちが働く様子、深く静かな森……。クーニーさんの描く、かなりリアルな絵が胸に迫ってきます。今は、こうしたかごは博物館でしか見られなくなった、と解説にありますが、日本でも似たような状態だと思うので、昔ながらの手仕事を大切にしていきたいと思わされました。