本書は、第1章 大連・旅順、第2章 奉天、第3章 新京、第4章 哈爾濱、第5章 北満、第6章 満蒙開拓団、という章立てになっています。写真も豊富で、戦前の満州の全エリアをくまなく紹介しています。当時の貴重な写真と詳しい解説のお掛けで新しい知識を得ることができました。
日清・日露戦争で得られた大連は、帝政ロシア時代はダーリニーという名でしたが、日本の支配とともに満鉄のヤマトホテルや満鉄病院の建造物群に代表されるような権威の象徴として威厳ある街作りが行なわれたわけです。権力の象徴ともいえる壮大さを持った洋風赤レンガ建築群は美しく整備されています。
現在の中山広場である大連大広場に展開される戦前の素晴らしい建物の写真を見ながら、日本が支配した都市空間の凄みと様式美に目を奪われました。今も使用されているそれらの建築物の優美さがまた大連の魅力の一つでもありましょう。
戦前の日本は、満州を支配することよって国内問題も紛争処理も解決を図ろうとしていました。それらの国策にも乗って、「夢の都」であるべき大連は、素晴らしい西洋風の建造物を擁する東洋のパリとも称えられる美しい都市へと変貌していきました。
本書の後半は、奉天、新京、哈爾濱という旧「満州国」の主要都市を写真と地図が収録されています。ラストエンペラー皇帝溥儀、鞍山製鉄、撫順炭坑、国境の街・安東、国境線・鴨緑江、関東軍の本拠地、東洋のハリウッド満映と李香蘭、ロシア文化とハルビン、など実に興味深い写真が沢山掲載されています。戦争に翻弄された満蒙開拓団の方々のことを思うと、過去の歴史の悲惨さが思いやられました。