「満州」関係者が戦後日本とどう関わったかを記した。
特に注目したいのは3章。国内に基盤をほとんど持たない満鉄職員が戦後復興の中枢となった「経済安定本部」で重要なポストを与えられ、かなりの影響を持っていたことを明らかにした。
だが、岸の戦後を描いている後半は、椎名悦三郎との関係、満州人脈など結構、原彬久の「岸信介」とかぶる。「満州と自民党」となれば、岸が主役になるのは当然とは思うが…。岸のアジア外交と賠償、それに連動した建設ビジネスとの関係が興味深い点ではある。
なお、細かいことだが、本書178ページに「水力発電ダムづくりにたけた」久保田豊は1965年に死去したとあるが、それは同姓同名で、農民運動家で衆議院議員の久保田豊の間違いでは?「水力発電の久保田豊」は日本工営創業者と思われるが、彼は1986年死去。