年越し派遣村で全国的に知られるようになった湯浅誠さんの講演をもとにした本。
内容としては2008年11月19日に聖学院大学で行った講演+学生との対話と
2009年2月23日に金子勝氏との対談を活字化した内容になっている。
口頭での説明調であるから大変読みやすい。スラスラ読めます。
リーマン・ショックが起きてからの国内の雰囲気を思い出すことでしょう。
貧困が広がっている現実と派遣労働の広がり、そして中間層がやせ細り貧困層と富裕層に
分かれている事実をわかりやすく語っています。
本書では自己責任論の問題点として貧困に陥った人を救う解決策を見いだせない事をあげています。
人ばかり責めるのではなく、席(雇用)が減っている事に何より目を向け具体的な解決策を
考えていかなければ前に進みません。
ただし、物足りないなと思った点は新興国など中国や東南アジアなど日本人の何十分の一の給料で
働いていて、そこに日本人の平均的な給与水準が引っ張られているという現実が
抜けてしまっている事です。
ただそれでもこれまでの常識や価値観をぬぐいさって生活保護を受ける=サボりではなく
生活再建のために必要なセーフティネットを広げるなり、違うセーフティネットを張るなり
貧困から抜けだそうとする人の背中を押して支える新たな仕組み作りを粘り強く続けて
いかなくてはならないと考えさせられた。
湯浅誠さんも印象に残っている言葉としてチョムスキーの言った「魔法のボタンは存在しない」
という言葉をかみしめ、貧困を他人事に思うのではなく誰にでも起こりうる事であると考え
地道に続けて試行錯誤を繰り返す中にしかこの問題を解決する答えは出てこないだろう。