ミニチュアゲームやTRPG、そしてネットゲームでお馴染みのダーク・ファンタジーの小説です。ページ数にして430頁、大作と言えるでしょう。
ウォーハンマー世界の小説は過去にもあり、『吟遊詩人オルフィーオ』シリーズや『ドラッケンフェルズ』のシリーズなどが邦訳されていますよね。どちらのシリーズもなかなか素晴らしいのですが(特に後者は同作家の別作『ドラキュラ紀元』とならんで傑作です)、ウォーハンマーの雰囲気や世界設定を忠実に再現しているとは言いがたく、ウォーハンマーをよく知らない人への入門書とするには不適切です。(TRPGを遊ぶ同志の皆さんは必要とされているでしょう?)
そこで本書です。ウォーハンマーの諸商品を手がけているゲーム・ワーク・デザインの開発者であった作者の筆によるこの物語は、ウォーハンマーというものの肌触りをバッチリ伝えてくれます。陰鬱で、血なまぐさくて、雄雄しくて、奇妙で、壮大なオールドワールドがココにあります。
本作の主人公は17歳の可憐でひたむきな少女で、その脇を固めるのはエルフとドワーフの戦士という王道のキャラです。(ハーフリングは登場せず。ファンは残念!!)オールドワールドには珍しく爽やかな(笑)ヒロインですが、対をなすように現実主義のいかつい魔狩人が第二の主人公として配置されていますので、ファンの方はご安心ください。
で、肝心の小説としての完成度ですが、“とてもきちんとした出来栄え”です。読みやすく、緩急もあり、描写も丁寧で、展開も無理なくスムーズ。でもね、個性はないですね。綺麗にまとまりすぎと感じられる方もいるかも。まるでハリウッド映画のよう。いや、ウォーハンマーという世界がすでに十分個性的だから良いのでしょう。
また、物語の舞台は、エンパイアの貧しい村からドワーフの大地下都市、そして大軍勢同士がぶつかる戦場(ミニチュアゲームそのもの!)と次々移りかわり、たっぷりとファンタジーらしさが味わえるのは間違いなしです。
最後に大きな難点を。続編を意識したラストになっています。ここも、最近のハリウッド映画と同じですね。ああもう、すっきりしないだろうが!!