夕暮れに染まる港町横浜・・・大震災直前の明治38年頃の繁華街には、和洋様々な服装の人々が行き交う・・・丁寧に書かれたイラストの表紙が素晴らしいです。
始まりは・・・女学生が人力車に客を乗せて横浜の豪 華ホテルにやってくる。かぐわしい香水に惹かれて見上げると・・・2階のベランダからドレスを着た女性が身を投げようとしていた!インド人のドアマンの制 止を振り、ロビーを駆け抜けた女学生は、さらに2階目指して駆け上がり!・・・と、冒頭からすぐに引き込まれました。ホテルのイケメンシェフ、女学校の白人女教師、混血の美人女学生、お金持ちのオジサマ、オバサマ・・・と登場人物も多才で楽しめます。
中々上手いな〜!(笑)
全 体にテンポが良いのですが、躾けに厳しいお嬢様学校の様子や、女学生たちの日常は丁寧に描かれており、主人公や友人の間のやりとりや、「事件」を巡る関係 者の描き方も女性作家らしいもので好感が持てます。ただ、お話の核心部分、「事件の真相」の部分に関してはかなり複雑な事情になってい て、叙情的な結末を目指した結果と思われますが、正直言ってちょっともたれる面もあるかな?
文明開花の横浜らしい活 気とエキゾチックでお洒落な雰囲気も上手く表現されており、若い女の子が主人公の、ソフトタッチのミステリーと言えますね。