軽いカルスタ系の本かと手にとってページを捲って早々に、温泉地での「格差」ともいうべき木賃宿のようなアパートが賑やかな表街道から一本入った裏道にあるはずという気付かせから入る導入部にハートがぎゅっと掴まれました。
箱根や熱海といった具体的な温泉どころの発展史を丹念に追う前半部と、労働問題(労働需給、福利厚生、非正規雇用、季節労働者、そして当事者たちのインタビュー)を追う後半部がかちっと嵌って一気に読まされてしまった。
本格的にこれから観光立国を目指すことを国としても掲げ始めた今こそ、かつて明治維新後に観光で正貨を稼ごうとした往時を辿るのは意義があると考える。
あとは思想として報徳仕法及び福沢諭吉「近代化」が合わさった実践例として発展した箱根湯本の歴史は非常に興味深かった。