とにかく、一気に読んでしまいました。
そして、「自分が常日頃思っていたことが、これほどまでに見事にまとめられているとは」と感心しました。
昔に比べ、より多くの情報を手に入れれるようになった現在。
「情報洪水」という危険性を示唆する言葉が生まれながらも、IT技術・ツールの発展や、その「明らかな」便利さによっていつの間にか忘れられた危険性。
しかし、やはり振り返ってみると、そして本書でも提示されているデータを見ても「IT社会」「デジタル重視」「スピード重視」がいかに我々の「思考力」を奪ってきたかが良くわかります。
どんなにいろんな情報を瞬時に集めることができ、どんなに情報を多く蓄積することができても、それを使う側(のはず)の人間が追い付いていない。
いや、追い付くこと自体がナンセンスともいえるのではないでしょうか。
10年前に比べて、個人レベルでも膨大な情報を格納し、取り出せるようになりましたが、はたしてそれでどれだけ多くの革新的な「アイデア」「発明」が生まれたのでしょうか。
直感的に考えても、「No」と言わざるを得ません。
Evernote、MindMapツール、はてなブックマーク、etc,etc――アイデアを創出するためのデジタル支援ツールは確実に大きな進歩を遂げたのに、それらが直接「創造性」に結びついていないのは、デジタルやITの便利さばかり享受して、人間が「じっくり考えること」をやめたせいではないでしょうか。
(決してこれらのツール自体を否定しているのでありません)
そう、便利さとスピード・即効性を求めるゆえに、多くの人々が「じっくり考える」というアイデア創出の基本を見失ってしまったのではないでしょうか。
原著のタイトル「
Future Minds: How the Digital Age Is Changing Our Minds, Why This Matters, and What We Can Do About It」を、日本語では「減速思考」としたタイトルも秀逸です。
ともあれ、今一度デジタル・ITを「使う側」の人間自身を「考える」ためにも、じっくりと手に取って読んでいただきたい名著です。
(それこそ、電子ブックではなく、紙の本で)