表題作より『渋谷区円山町 -純真-』が好み。
どうしよーもない恋愛のドロドロと
作者が得意とする叙情的/感覚的な描写が
とても美しいバランスで画面に共存してます。
『フカミドリ』も、この人らしい“女”ファインダー越しに
捉えた現代ファンタジーとして非常に楽しめますが
作者の美しい抽象表現や画面構成を引き立てるのは、
むしろ『円山町』のような、より確固とした
地盤の上でのような気がします。
抽象的なものを抽象的に描くのは凡庸だけど
具体的なものを抽象化することは、
例えば村上春樹が操る卓越したメタファーのように、
普段僕らが気付けない無意識下の言葉にならぬ感情同士を
時に優美に繋いでみせるのではないか。
それは少女漫画という表現の
意義深さを証明するに足るものです。