リスクマネジメントのポイントとは「理念を持ち」、過去の「しがらみを捨て」「タイミングを計り」「攻め」、そして「守る」ことという。渋沢栄一は日本を近代国家として発展させるには民間が力を合わせることが不可欠と、合本(株式の前身)方式の会社設立など新しい制度を作り、時代を切り開いた。そんな栄一を著者は、日本の「元祖リスクマネジャー」だと指摘する。
一方、「すさまじい額のカネを動かす得体の知れない投機集団」といったイメージでしか見られないヘッジファンドについても、著者はその内実を詳しく紹介することで、リスクマネジメントを活用するプロフェッショナルという真の姿を浮き彫りにする。
栄一やヘッジファンドに共通するのはオルタナティブ(代替可能)な道を常に模索しベストの策を講じる思想であり、構造改革、金融再生が迫られる現在の日本は、この思想こそ身につけるべきだと説いている。
(日経ビジネス 2001/11/19 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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内容は、まず有名なヘッジファンドの色々な運用スタイルや、運用する人の人間性の紹介(これが個人的には結構面白かった!)から入って、後半でおそらく著者の理念である、リスク管理の重要性とオルタナティブ投資の概念を分かりやすく紹介している。今の日本人にはリスクを判断する柔軟な思考能力が著しく欠けてしまった感があり、本書を読むとそれを改めて思い知らされる。渋沢栄一の家訓を紹介していることと本書の理念とのつながりがやや唐突な感があるが、戦前の日本のオピニオンリーダーであった渋沢栄一と、迷走を続ける今の日本に、今まで忘れ去られていたオルタナティブという概念を再び紹介している人物が同じ家系であるというのも非常に興味深い事実かもしれない。
最後に、私は某ヘッジファンド系の投資会社に勤めているが、本書が偏ったバイアスを持たずに、様々なファンドの運用スタイルをプロフェッショナルな観点から紹介しているのは大変有り難く思う。
一般に日本の競争力を高めるために能力主義を進めるべきと言われる。とかく能力主義は弱者切り捨てと見られがちだが、「渋沢栄一は能力主義者であるが、能力あるものだけが世の中を支配すべき、という能力至上主義的な考えは毛頭なかった。むしろ逆で、能力があるものこそ弱者に思いやりの手を差し伸べ、公のために尽くすべきという考えであった」の一文は非常に共感を覚えた。
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