渋さ知らズは多くの著名なジャズミュージシャンが参加しいるジャズバンドであるが、どんなジャンルを取り込んでしまうバンドであり、ジャズの範疇を軽く超えている。
私の渋さ知らズとのかかわりは殆どがCDを通じてであったので、彼らについては、その成立ちも含めて知らないことが多かった。
例えば・・・
◎彼らのライブには白塗りの前衛舞踏家もいればフロントで踊っているダンサーもいれば、叫ぶだけの男もいるし、ステージでは龍も舞っている。何故なのか。
◎メンバーは増加を続け現在は演奏者だけで30名以上を数えるのだが出入りは自由のようである。どうしてなのか。
本書で著者は、この正体不明?のバンドの歴史を、40名以上の関係者にインタビューを試みることにより明らかにしようとした。が、あとがきで『渋さ知らズの魅力の全貌を伝える本にはならなかったけど、これが私の力の限界です』と述べている。
確かに、一つのバンドとしては関係者が多い、ほぼ全員の考えが違う、しかもそれぞれ面白い。出口のない迷路のようである。著者が方向性を示せなかったのも無理もないことかもしれない。
しかし、最終章と本の帯に『(渋さ知らズ)はいろんなものを吸収し、貪欲に消化する場として機能してきた。その場を経験することで…何かがそこにある。そんな感覚が渋さ知らズなのだ』とある。そして、著者は彼らのライブを『百姓一揆』と定義した。
これで充分であろう。全てを消化し、本人も何を食べたかわからなくなっているような存在、それが渋さ知らズである。
本書は「渋さ知らズとは何者か」ということが主題になっているので、音楽性については殆ど触れられていない。しかし、その方がポイントが絞られて良かったのだと思う。
彼らの歴史を知ることができる好著である。