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清張さんと司馬さん (文春文庫)
 
 

清張さんと司馬さん (文春文庫) [文庫]

半藤 一利
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「虫の眼」清張と「鳥の眼」司馬―松本清張と司馬遼太郎という戦後文学の二大巨匠はまた、昭和史そして激動する現代社会にも厳しい批評を提示し続けた。二大巨匠の活動が最も旺盛であった昭和30年代後半から40年代にかけて、著者は担当編集者として二人に出会い、多くのことを学んだ。間近に接した巨匠の等身大の実像がここにある。

内容(「MARC」データベースより)

数々の名作を世に送り出し、昭和史そして戦後社会のあり方に立ち向かった二人の文豪の実像を、かって編集者として共に歩んだ著者が描く。「NHK人間講座」のテキストに加筆し、まとめたもの。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 304ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2005/10/7)
  • ISBN-10: 4167483149
  • ISBN-13: 978-4167483142
  • 発売日: 2005/10/7
  • 商品の寸法: 15 x 10.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
対照の妙 2002/11/15
By kh VINE™ メンバー
形式:単行本
 著者の半藤一利は、松本清張と司馬遼太郎という2人の国民的作家に編集者と接した経験をもつ。そういう人の書くものがおもしろくないはずがない。ときに家族以上にその人のことを知っているのが、編集者というものだろう。なにを今さらと思う人がいるかもしれないが、こうして二人を比較されると、その違いもより明瞭になる。

 もとはNHK教育テレビの「人間講座」のテキストとして書かれたもので、さらに足りない部分を補注で書き足している。この補注は、引用だったり、打ち明け話だったり、感想だったりするのだが、むしろここが読みどころといってもいいほどおもしろい。

 司馬遼太郎は『ノモハン』を書くために生き証人に取材もし、資料も読み込んでいたが、結局、書くことを断念した。なぜか。

 小説のなかの登場人物にしたいと考え、取材もし、いくつもの秘話を聞き出していた須見新一郎という人物がいた。ところがその人から絶縁状を受け取る。「文芸春秋」誌上で元大本営参謀(作戦課)の瀬島龍三と対談したというのがその理由だった。この絶縁状のことについては、一度だけ、司馬さんの口から聞かされたという。半藤一利は補注のなかで、司馬遼太郎が『ノモハン』を書く意欲をなくしたのはこのためではないか、と推察している。(詳しくは同書で)。

「司馬さんは作品の上で、つねに颯爽とした人を愛し、付き合った。合理的な精神をもった先見性のある人たちに限りない友情を抱いたと思います。たいして清張さんは、策謀の多い奴、権力を悪用する奴、金の力にものを言わす奴、そんな悪人と付きあうことに何の痛痒も感じなかったんです。」

 編集者として間近に接してきた著者の愛情が、この本を後味のいいものにしている。本好きのなかには、司馬派と清張派があるような気がするが、この本を読むと、対照の妙で、もうひとりのほうにも興味がわいてくるだろう。

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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
『清張さんと司馬さん』(半藤一利著、文春文庫)は、松本清張と司馬遼太郎という、持ち味は違うが、間口が広く、奥行きも深い作家に身近に接した編集者の半藤一利が取って置きの内緒話を語るといった趣があって、清張ファン、司馬ファン、そして半藤ファンには非常に楽しめる一冊だ。

半藤は編集者として活躍し、その後、作家としても成功した人物であるが、清張と司馬に親しく接したことが大きく影響していることだろう。半藤のような才能がなかろうと、大好きな清張の編集者、敬愛する司馬の編集者を一時でもいいから務めてみたかったというのが、私の叶わぬ夢である。

著者が、松本清張を名字でなく「清張さん」、司馬遼太郎を「司馬さん」と姓で呼ぶ背景も、本書の中で語られている。

著者の語り口を、いくつか挙げてみよう。

●清張さんもそうなのですが、作品を書くにさいしての司馬さんの資料収集と検証作業のものすごさ。・・・冗談でなく、命懸けといってもいい。つまりは、こまごまとしてエピソードやゴシップまで、文献に当たり専門家に尋ね、納得ゆくまで調べあげる。・・・とにかく徹底的なんです。

●何が楽しみで生きているのですか、と問われたら、多分ご両所とも「原稿用紙に向かうこと」と答えるに違いありません。あるいは資料を読み考えることか。

●(岩波茂雄は)・・・したたかですね。卒業後、古本屋をしているとき、人に連れられて、漱石のところに行き、朝日新聞に連載中の『こゝろ』を本にさせてくれ、と頼んで許される。つづいて、「ついては、出版費を貸して下さい」・・・おんぶにだっこでした。
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形式:文庫
先に読んだ半藤さんの『漱石先生 お久しぶりです』に、「われ明治の御世に編集者でありえせば、是非にも担当となってお訪ねしたかった人、いや、ちょっぴりたりとも謦咳に接したかった文豪がいる。一に漱石、二に鴎外、三に幸田露伴・・・・・・なんて一杯やりながら、例のごとく気炎をあげていると、「なにをぬかすか。明治の鴎外二文豪にも劣らない、松本清張と司馬遼太郎という昭和の二文豪と、貴様は懇々たる知己で接しておったじゃないか。贅沢もほどほどにしろというもんだぞ」と、酒席の雑談中にえらく窘められたそうである。
こんな酒席の雑談から半藤さんは気が大きくなり「黒子は職業上の秘密を語るなかれ」という編集者「心得の条」その一を破って書かれたのが本書『清張さんと司馬さん』である。
職業上の秘密と言っても本書に、半藤さんが書いている両大御所と胸襟を開いて語り合ったことなどに秘密にしなければならないような大げさなことなどは微塵もないのである。むしろ大御所二人との付き合いのなかから生まれた会話や心温まるエピソードなどは、半藤さんならではと思える洒脱な文章もあいまって興味津々で読ませてくれた。
私が長く不思議に思っていたこと、「司馬さんが何故ノモンハンを書けなったのか」の疑問も本書で知ることが出来たのです。
司馬さんは、このノモンハンの主人公に、須見新一郎大佐を置こうと考えていたらしいから何度も長野県の温泉で隠棲していた須見さんに会って取材していたそうです。
あるとき司馬さんの家に須見さんから電話があり、「もう貴方とは会いたくない!あんな瀬島なんかと対談するなんて許せない!」と烈火のごとく怒って電話を切ったそうである。
あんな瀬島と須見さんが言ったのは、陸軍の主要な軍事作戦を作戦参謀として指導した瀬島龍三中佐のことである。(須見さんは、辻政信と服部卓四朗も許せないと司馬さんに語っていたそうです)
須見さんから絶交を宣言されたから司馬さんは須見さんを主人公にしてノモンハンを書くことに躊躇して諦めたのかもしれない、と半藤さんが本書で語っていたから、司馬さんがノモンハンを書けなくなったんだろうと私も得心できたのです。
松本清張と司馬遼太郎という大作家二人の性格や物書きとしての視点の違いなど、これほど読者に理解させる本は他にありえないと言い切れるほどである。
が、半藤さんは、本書のあとがきで、「老若男女ひとしく楽しめる原稿を、と心掛けたため、上っ面をさーっと撫でたようになったかもしれません。」などと謙遜していましたが、どうしてどうして、「清張&司馬ファン」にとって見逃せない一冊でした。
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