1850年から2011年までに撮られた101点の写真を、見開き2ページで紹介した作品集です。
高名な写真評論家の飯沢耕太郎氏の解説が左ページにあり、上段に作品の特徴と魅力を簡潔な言葉で記し、中段にはより詳しく解説が展開してあり、下段には写真家名とタイトル、撮影年が記してありました。
1868年頃の上野彦馬が撮った「フルベッキとその塾生たち」は、約50人の人物にしっかりとピントがあっており、集合写真としての構図も確かなものでした。
竹久夢二が写した、たおやかな「お葉」の姿が34ページに掲載してありました。まさしく彼の絵画作品同様の美意識が感じられます。
詩人・萩原朔太郎の「浅草付近を写したステレオ写真」という作品に興味を覚えました。筆者が記しているように「彼の詩と写真との相関関係については、もっと注目されてもよいと思う」は同感です。
野島康三「細川ちか子氏」は現代人から見てもインパクトのあるもので、突き刺すようなモデルの眼光は作品に強烈な光を与えていました。
名取洋之助が五島列島で撮った「帽子が樹にかけられている作品(題名不詳)」のリズミカルな調子は巧さを感じさせます。
桑原甲子雄「浅草区松清町」の少し風変わりな東京の街角を切り撮った作品から視点の面白さが伝わってきました。
田沼武能「SKDの踊り子」は1949年当時の日本の世相を表した名作ですし、石本泰博「ノース・アヴェニュー・ビーチ」は構図の巧さとトリミングの妙が感じられました。
岡上淑子のフォト・コラージュ「沈黙の奇跡」はシュールレアリスムの香りが漂ってくるようでした。
木村伊兵衛から「東京 浅草」(1953年)が選ばれました。選者の好みでしょうが、木村伊兵衛らしさは確かに漂ってきます。
入江泰吉「古都遠望」は好きな作品です。名作ですね。
岡本太郎が写真に関わっていた時の作品「久高島」も彼の芸術性が伝わってくるものでした。
土門拳「飛鳥寺(安居院)金堂 釈迦如来座像面相」はこれぞ土門拳というべきクローズ・アップの技法で処理されていました。
森山大道「三沢の犬」、荒木経唯「『無題』センチメンタルな旅より」など、高名な写真家の名作が続きます。森村泰昌「批評とその愛人(A)」や、やなぎみわの「The White Casket」は大好きな作品群です。蜷川実花「無題」での色の鮮やかさは流石でした。
なお、101点の掲載ですので、好きな写真家で外れている方も散見し、この続編を期待したいと思いました。