「Mr.Children Everything -天才・桜井和寿終わりなき音の冒険-」の著者山下邦彦氏に酷評されたアルバム。
氏が指摘するように、ひたすら過去へと退行するメロディー、桜井のズタズタな精神状態が露になった詩は、
明らかにバンドとしての活動の休止、解散を思わせるようなものだった。
自分もこの著書に多大な影響を受けた一人だが、それでも「深海」の持つ特別な輝きを否定することはできないのだ。
なぜ多くの人が「深海」を支持するのか。なぜ「邦楽史上最高のアルバム」と形容するのか。
それは、このアルバムに渦巻く怒り、悲しみ、憎しみ、喜びなどの剥き出しの人間感情、
そして表題曲「深海」が与えてくれる強い「共感」と「解放」に他ならないと思う。
氏は“連れてってくれないか 連れ戻してくれないか 僕を 僕も”の部分を「もはやメロディーになっていない」と切り捨てた。
確かにそうなのかもしれない。しかし、あの悲痛なまでの叫びこそ「深海」の「深海」たる所以のように思える。
音楽は、メロディーやコードだけでは語れないのではないだろうか?
桜井は「NOT FOUND」で“歌や詩になれない この感情と苦悩”と歌ったが、
「深海」こそがそれを表現し得た「奇跡のアルバム」ではないかと思う。