「深海生物学」とはいうものの、チューブワームという生物の話題に終始している。多様な深海生物を知りたい方よりも、生命の起源に迫りたい読者にお薦めの一冊。
チューブワームとは、熱水噴出孔などに群生する生物で、体内の細菌を利用してエネルギーを得ている。細菌の餌となるのは噴出孔から得られる硫黄である。すなわち、チューブワームは太陽光ではなく、地球内部のエネルギーを利用する、非常に珍しい生物ということになる。これは太陽光に支えられた地上・海面の生態圏とはまったく位相を異にする。
著者はここに、生命の起源を見いだすのである。さらに続編『生命の星エウロパ』も読むと面白いだろう。
内容は非常に平易で、潜水艦の仕組み、熱水が沸騰しない理由などについても、わかりやすく説明してくれている。