暗黒,高圧の世界である深海は,人間のすむ世界とは,まさに対極の世界だ.その極限環境に適合進化した動物は,我々の想像をはるかに超えた姿と生態を示し,これぞスーパーモンスターといえよう.その異形を「海洋研究開発機構」の撮影したカラー写真(1回の撮影に要した費用は一体いくらだろうか?)とイラストで描いている.そして,イラストには専門的な解説がつけられている.
例えば,ウミグモは次のように記されている.「ウミグモはクモという名前が付いているが、クモとの共通点は体の一番前の脚がハサミになっているという1つだけしかない。脚が長いためクモに似てはいるが、体のつくりはまるで違っていて、ウミグモの腹部は単なる突起になっており、胸部は脚の接合部だけでできているかのようだ。要するに体のほとんど全てが“脚”なのである。」(172ページ)。こうした文体で,それぞれのスーパーモンスターについて,最新の専門的情報が記されている.
そういうわけで,本書はその値段よりも数十倍の内容がある.深海では,スーパーモンスター同士の戦いが“日夜”繰り広げられているだろう.しかし,その場を目撃した者は一人としていない.深海は人類最後のフロンティアなのだ.