昨今、様々なかたちで『太平洋戦争』のエピソードが語られていますが、この作品は『潜水艦』と云うハードウェアを通して、その運用に携わった人々の儚くも逞しい生き様や、ハードウェアをより優秀な機械に作り上げた人々の姿、また当時の時代背景や『日本は如何にして敗戦したか』といった所まで浮き彫りにした作品だと思います。あの戦争はいろんな意味で現在に影響を与えていますが、一つ変わらないことは、当時も今も『潜水艦』というものを作るテクノロジーについては、日本は世界第一級のモノを持っている、ということは意外な事実だったりするのですが、そういったことが当時のこれらの人々のおかげだということを、改めて思い出させてくれました。哀しいのは、この決死行を軍部(政治中枢)が思いついた時に世の中は、ハードウェアの性能だけでは勝者になれない―情報が戦局を左右する時代になっていたことでしょうか…図面の上での当時の日本の兵器のスゴさは語り草ですが…そればかりではなく、文中にある帰還寸前に触雷し帰還できなかったという件がこまめに描写されている部分を読むと、最後の詰めの甘さが全てを台無しにしてしまうといった教訓をも与えてくれてます。国家の存亡を賭け、挙国一致で臨む筈の戦争が、結局は現場の『人間』の思惑や行動がその命運を大きく左右することを強く感じ、普段の生活にも充分に還元できる教訓を与えてくれた1冊であったことも付記しておきます。