十年、二十年経っても忘れられない作品がいくつかある。
今みても古さを感じないそんな作品たち。
このドラマもそのひとつ。
わたしにとってそれは二つある。一つは田宮二朗主演の「高原へ
いらっしゃい」でありもうひとつがこの「淋しいのはお前だけじゃない」である。
西田敏行扮するしがないサラ金の取り立て屋が、ふとしたことから借金の返済に苦しむ人たちと旅回り一座を結成。それぞれの個性をたよりに興行を続け、ヤクザな悪徳オーナーの手から逃れるという奇想天外な人情喜劇。大衆演劇とサラ金の取り合わせによって展開される内容はユニークかつ斬新、またそれは当時の世相を鋭くつくものだった。脚本は市川森一で、メルヘンと毒気が同居する氏独特の持ち味が遺憾なく発揮された本作は、!その創作活動における集大成的作品といえる。なお、本作はTBS金曜ドラマ枠が放った名作のひとつとしても知られ、1982年度テレビ大賞および第一回向田邦子賞を受賞した。
梅沢富美男、西田の本領を生かしきっている作品だ。
サラ金取立て役尾藤イサオ(西方)と追われる西田(沼田)との掛け合いは必見。財津一郎(国分英樹)と尾藤イサオの狂気はドラマながらゾクっとさせられる。コミカルと毒気の演出が快感として感じられる市川森一の傑作。