こういったジュブナイルシリーズにありがちなダイジェストではなく、オリジナルがそのままに(ルビを振って)収録されていることは特筆に値する。スニーカー文庫版のちょっと恥ずかしい萌えピンナップ(?)は省略され、子供に読ませるのに抵抗のある要素はなくなっている。
本作には、オリジナルでさんざん論じられたであろうが神林長平の影響が強く感じられ、特にクライマックスは「機械たちの時間」を思わせるものがある。とはいえ神林的な難しさだけが前面に出てくるような生硬さはない。神林風ではあっても子供についてこられないほど込み入った構造にはなっておらず、いわゆるラノベだけあって軽く読める一方、日本語の品質は十分に高い。子供向けを意識した手加減をしていないところは子供にもわかるだろう。本気は伝わるものである。多少の萌え要素を受け入れられるなら、出自がラノベであるからという色眼鏡は外して読んでみることをおすすめする。子供に読ませるかどうかはその上で判断するとよい。