角川スニーカー文庫刊・谷川流著・いとうのいぢイラストの
「涼宮ハルヒ」シリーズ第6巻にあたる『涼宮ハルヒの動揺』です。
短編4本と書き下ろし1本の構成で、今までの物語の隙間を保管する
なかなか巧みなシナリオと構成力が際立っています。
短編1.「ライブアライブ」
第2作「溜息」で製作されたSOS団製作映画が公開された楽しい11月の文化祭が舞台。
講堂で巻き起こす助っ人ライブは拍手と感謝の念に包まれ、彼女を動揺させるばかり。
演奏曲の元の音源収録MDが大人気を博した理由を詳細に分析している描写も巧妙。
多くは語らないものの、彼女の感じた違和感の真実と
それを支えた彼との信頼感も窺えるはんなり心温まるエピソードです。
短編2.「朝比奈ミクルの冒険 Episode00」
で、その問題のSOS団自主制作映画の内容をキョンのモノローグ中心で綴ったお話がこれ。
いい加減さ全開、やる気なさげの解説満載、脱力構成、つぎはぎ脚本でお届けする閑話休題。
来年製作予定は未定の『ディレクターズカット版』も楽しみですね!
書き下ろし「ヒトメボレLOVER」
衝撃の第4作「消失」〜第5作「暴走」の書き下ろし・雪山症候群を繋ぐ12月の物語。
彼女にひと目惚れした彼の未来妄想の面白さは異常。
そのホントウの真実を知ったその寂しさがどこか切ない冬のエピソードです。
代理告白文章を勘違いし、彼の試合観戦でほんの少し見せる彼女の嫉妬にもニヤリ。
露骨に見せず、自然体で流す気持ちの揺らぎの描写が上手いですね。
短編3.「猫はどこにいった?」
第5作「暴走」の雪山症候群直後の古泉主催・大晦日密室殺人ゲームのお話。
鶴屋さん、キョンの妹、猫のシャミ、孤島症候群でお世話になった方々も
交えて室内遊びに興じる楽しさ満載。深読み不要の閑話休題2本目です。
短編4.「朝比奈みくるの憂鬱」
年明け日曜日にみくるに誘われ2人でお買い物。
キョンの静かなる誇大妄想テキストは既に危険空域突破済。
偶然にして必然の交通事故未遂から、彼女と彼が心を交わす姿に安心感と絆の大きさを感じさせられます。
時間超越、世界改変の新たな序章を匂わせながら、物語は次巻へと続きます。