『涼宮ハルヒ』と冠するライトノベルシリーズの最新第9巻。シリーズ初の複数巻にまたがる長編エピソードで、今巻は上巻に当たります。
舞台は春、ハルヒ・キョンをはじめ、全てのキャラが一学年進級し、新学期を迎えての新展開が語られます。
このシリーズ、初期の頃から、張れるだけの伏線を張り巡らせて、後にそれを回収しつつ世界観を深めていくという執筆スタイルが採られていますが、第1巻『涼宮ハルヒの憂鬱』の頃から張られていてここまで回収されずにきたある伏線が、ここに来て新キャラの登場とともに遂に回収されます。まさに「満を持して」といった雰囲気ですね。
他にも『涼宮ハルヒの陰謀』、『雪山症候群(短編集『涼宮ハルヒの暴走』に収録)』等で語られながら、解決を見ていないネタも次々に絡んできて、ここまで通して楽しんできたファンには非常に興味深いエピソードとなっています。
また、今巻には少し長めのプロローグ(100ページ弱)が綴られていますが、そこではSOS団結成一年目の出来事が、フラッシュバックのように次々と語られています。こんな要素もやはりファンには嬉しいですが、反面この巻から『涼宮ハルヒ』シリーズに触れるにはやや向かない内容とも言えますね。今巻があくまで『涼宮ハルヒ』シリーズの第9巻である事をしっかり認識している必要があると思います。
複数の実に魅力的な新キャラをはじめ、SOS団以外のキャラ達の活躍も増え、展開はより派手に華やかになっています。そして初の試みとなる叙述上の仕掛けが何を意味するのか?色々新たに振られた伏線や設定が気になって仕方がありません。
少し気になるのは、新キャラに押されて旧キャラの陰がやや薄く感じられる点(特に今巻ではハルヒと有希がそう感じられます)ですが、今巻の流れだと、この先の展開には充分に期待が持てそうです。
続刊『涼宮ハルヒの驚愕』の上梓が実に待ち遠しい所ですね(やや皮肉交じり)。