自分の音楽があり、それを外に出したくて意気盛んな、気負いに満ちた若者の傑作だ。確かに、完成されたカーペンターズサウンドとは「違う」ものに満ちてはいる。しかし、これは紛れも無い「カーペンターズ」だ。後の”HORIZON”、”A KIND OF HUSH”にまっすぐ通じる本質が、既にここに100%現れていて感動的だ。
リチャードとカレンの才能がまだバランスを取れておらず、アレンジャーとしてのリチャードが主導権を握っているが、うら若きカレンのヴォーカルがなんとも愛らしく色っぽい。そのまだ未成熟な歌声が、カーペンターズ初期のJAZZYなアレンジに乗って縦横無尽に駆け巡る様は、まさに若さのなせるワザ。リチャードの既に才能あふれる小憎らしいほどのアレンジも心の琴線をくすぐる。二十歳そこそこの若者が既にここまで高度なサウンドを確立していたことには驚嘆の念しか浮かばない。
完成されたカーペンターズサウンドを知ってこそ味わえる初期の名作、と言っては当時のリチャードとカレンに失礼だろうか。だが今聴いても、多少古くはあれどその孤高の高みにまで登りつめるカーペンターズの勢いが実に微笑ましく心の奥底にまで染みてくる。天才にしてなしえる仕事だ。耳あたりのいい上っ面だけでなく、その本質まで心して味わえば、至福の喜びが訪れる。甘酸っぱい青春の思い出に酔い痴れたい。これぞ原石のカーペンターズ。