「はじめに」の一行目に「本書は消費税論の決定版である」と著書は書いている。評価は読者にゆだねるとも書いているが、自負する気持ちが充分わかるほど書ききっているという印象が残った。
マスコミの変貌ぶりも鋭く突いている。かつては批判的であったのに、今では税調の主張をそのまま取り入れたといっていいような社説を書くようになった朝日新聞が批判されている。
財界への批判もするどい。「税制にも成長を促すか補完する道具としての役割ばかりを求めている。公正さとか法の下の平等とか憲法で定められた生存権や財産権に照らしてどうかといった理念への配慮は皆無に等しい」と指摘している。
消費税が益税を産む、預かり金的なものであるのに、滞納があるのはけしからんという論についても、中小企業や小規模の販売業などでは消費税分をそのまま値段に上乗せできない実態があることを丁寧に説明している。ここの部分の説明はレビュアーが手にした類書のなかでもっともすぐれた説明になっている。
著者は税金の専門家ではないのに、専門家が書けなかったところまで書いていることは驚異的と言ってもいいくらいだ。すでに源泉徴収制度に関する本も書かれているので全くの素人ではないとしても現行制度を批判する視点は的確である。
消費税増税に賛成の人にこそ一度読んでみて欲しい本である。