政情不安の背景が分かるとか、消費地としてのアジアの現状と日本の立ち位置を知るとか、ビジネスの視点から読んでも非常に面白いと思う。
しかし私は、地方の相対的な没落、高齢化の進展、所得格差の拡大など、まるで日本の戦後史をなぞるかの様に、様々な社会問題が同時にアジア各地で進展している、という事実に非常に興味を持った。「高齢化などが各国に先駆けて訪れる日本は、課題先進国だ」、等という言葉をよく耳にするが、本書を読む事でそのリアリティがぐっと強まるであろう。この実感は、現代の問題を前向き且つ現実的に捉えて行く為に、不可欠だと思える。アジアの中で日本が果たすべき役割も、より明確になる。
また、人口の分散や地方分権、都市のアメニティも度々新聞などで話題になっている。しかし、それらの実現・改善の為には、今の国際社会でどの様な力学が働いているのか、正確に把握する必要があろう。現状を知る為に、本書に記載された各種データ、現地のレポート、著者の分析は大きな助けになる。
アジアについての本だが、外に目を向ける事で、日本の事がよく見える。
たとえ新興国に興味が無い人でも、現代社会に関心があるならば、是非読む事をお勧めしたい。