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この短編集の多くは、主人公視点で展開していくストーリーで、その語り口がいかにも主人公らしいです。
「アタリマエだろ」 「主人公なんだから」
とは言っても、実際に短編であれ、主人公のキャラクターが最初から最後まで自然につながっている作品は多くないでしょう。
この作者はいきなり主人公の立たされている背景から物語をスタートさせ、そのあとも、
膨大な時間と努力をそそぎ込んで結晶化したようなスゴイ文章はあまり登場することなく、
童話のような「この主人公ならそうするだろう」というカンジの文章が続きます。
その雰囲気にもしかしたら物足りなさを感じる人がいるかも知れません。
でも、過剰な暴力的描写や、見ているだけで恥ずかしくなるラブシーンが延々と続く小説よりはずっと感情移入がラクではないでしょうか。
オススメは『麦酒店のアイドル』です。
バイト先の女の子と仲良くなりたい主人公が彼女にときどき翻弄され、それでも彼女を一途に思う彼の心の描写が特徴。
先に述べたような「主人公らしさ」が最も顕著に出ている一編で、
このエンディングもこういうモノだ、と納得がいくと思います。
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