本作は吉敷ものだ。
しかし、彼はほとんど登場しない。
主人公は別にいる。
たぶん、出版社が光文社ではない、ということが大きいのだろう。
しかし、吉敷が登場せず、若い女性がメインとなることで、著者には珍しい、フレンチ・ミステリ風味のようなものが漂っている。
消失ものであり、そのインパクトは消えるものが大きいほど、不可能興味を掻き立てる。
本作はタイトルの通り、特急列車が消失する。
それ以上は、読んで確かめて欲しい。
主役が女性である分、普段の吉敷ものよりも、サスペンス度合いが大きい。
感情移入もしやすいから、ストーリーにものめり込める。
すると、ラストの意外性のインパクトが大きくなる。
本作執筆の頃、著者は吉敷ものを続けて刊行していた。
一方、御手洗ものはほとんどなかった。
だから、御手洗ものに使いそうな大技を、この当時は吉敷もので結構使っていた。
「北の夕鶴〜」なんかもそうだ。
本作も、作風に少し変化・工夫があるが、意外性など、なかなかいい味のミステリである。