同潤会アパートメントというのは、戦前に同潤会という組織が建設したアパートであり、東京に13カ所、横浜に2カ所建設された。この中で、江戸川アパートメントが取り壊される際に大量の図面が見つかり、かつ部屋が公開されることになった。
本書は、取り壊し前に撮影された部屋の写真と図面により江戸川アパートメントを紹介する。ただ、その内容は単に建物の紹介だけではない。住んでいた人の写真も掲載され、何よりも著者がこの江戸川アパートメントで生まれ育った人だけに、そこでの生活も記述されている。
アパートというと戦後の公団文化が想像されるが、この江戸川アパートメントは戦前に建築されたにもかかわらず、公団よりもむしろ豊かな感じがする。画一的な部屋ではなく、独身用・家族用の部屋があったり、アパートに銭湯や理髪店が設置されていたり、独身者用の食堂とか、社交室とか、本当にびっくりするくらい個性的な空間が紹介されている。