スリーパー(埋もれている名画)発見ものの実話。映画にもなった『シビル・アクション―ある水道汚染訴訟』で知られるジョナサン・ハーの作品で、前作同様、ノンフィクションというよりもノンフィクションノベルだ。
小説だったら「穴」として指摘されそうなところが散見されるが、これが事実なんだから「文句あっか」ということになるだろう。事実は小説より奇なり。
しかし、この本の最大の「穴」は図版が一枚も収められていないことだ。うちにはカラヴァッジョの図録も画集もあり、ダブリン(アイルランド)の地図もロンドンの地図もあるけれど、本来、われわれ読者にそれらを自前で用意しろというのは無理な話だ。ノンフィクションをうたっているのだから、最低限の図版を入れるのは当然だと思う。岩波書店ともあろうものが情けない。