シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団のドビュッシー管弦楽曲集。1989年の録音だ。日本では1990年の音楽之友社が制定する「レコード・アカデミー賞」の管弦楽部門に輝いたディスク。曲目は当時のままで組換えはされていない。……「海」はさすがの演奏で、フランス的なものと機能的なものが両立している理想的な演奏。管楽器の音色と弦楽器の音色の溶け合い方などに、「印象派」と言われたニュアンスを聴くことができる。それでいて縦の線もしっかりしているし、単なる「海」の描写音楽ではない抽象的な難物である部分もきちんと掘り下げが利いている。「遊戯」もそうした色彩の表現が巧みだが、白眉は「交響的断章・聖セバスティアンの殉教」であろう。ほとんど東洋を思わせるグレゴリオ聖歌的な引用や、法悦に至る表現がまさに匂い立つような色彩で描かれる。最後にティモシー・ハッチンズのフルート独奏をフィーチャーした「牧神の午後への前奏曲」が聴けるが、これもフランス的なエレガンスと、前衛的色彩的機能的なものがうまくブレンドした秀演だ。録音も優秀。「牧神の午後」では遠くにかすかに鳴るアンティーク・ベルの響きが空間性を感じさせて美しい。