7つのうち、「銀色のかぎ針」と「缶入りドロップ」は
それぞれ3〜4ページ程度の短いお話です。
すべての話に共通するのは、
主人公が昨日までは知らなかった誰かと出会い、
その人の触れ合うことによって、
大切な思い出であったり、時間であったりを共有すること。
小川洋子さん独特のつかみどころのない、
浮遊するような不思議なお話ばかり。
描写も美しく、じっくりどっぷり小川ワールドに浸れます。
いちばん素敵だったのは「バタフライ和文タイプ事務所」。
硬質に、間接的に、性を描いた作品。
ただタイプを打つ音だけが鳴り響く静けさと、タイプを打つ指先のかろやかな動き。
これは大人じゃないとわからないいやらしさがあるっ!
でも、それが下品じゃなくすごく上品で、
むしろ、とっても美しい。
現実ではないどこかへ・・・
しばし夢心地に浸れるような味わい深い作品でした。