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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
静かで漂うような世界,
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レビュー対象商品: 海 (単行本)
7つのうち、「銀色のかぎ針」と「缶入りドロップ」はそれぞれ3〜4ページ程度の短いお話です。 すべての話に共通するのは、 主人公が昨日までは知らなかった誰かと出会い、 その人の触れ合うことによって、 大切な思い出であったり、時間であったりを共有すること。 小川洋子さん独特のつかみどころのない、 浮遊するような不思議なお話ばかり。 描写も美しく、じっくりどっぷり小川ワールドに浸れます。 いちばん素敵だったのは「バタフライ和文タイプ事務所」。 硬質に、間接的に、性を描いた作品。 ただタイプを打つ音だけが鳴り響く静けさと、タイプを打つ指先のかろやかな動き。 これは大人じゃないとわからないいやらしさがあるっ! でも、それが下品じゃなくすごく上品で、 むしろ、とっても美しい。 現実ではないどこかへ・・・ しばし夢心地に浸れるような味わい深い作品でした。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
脳に刺激を。,
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レビュー対象商品: 海 (新潮文庫) (文庫)
2〜3ページの短編で構成された本書。小川氏の持ち味である、穏やかなグロテスクにユーモアや官能が加わって、ちょっと違った雰囲気を醸し出しています。でも変わらず、静かで美しい描写に、さるきちは晴れた朝の穏やかな海辺を想像するのでした。こんなに短い物語で満足感が持てるのも不思議なものです。 小川氏曰く、長編も短編も着想や書き方に違いはない、とのこと。 だから読者は短編、長編にかかわらず、違和感なく物語の世界に入っていけるのかなあ。 「海」では、鳴鱗琴(めいりんきん)と呼ばれる架空の楽器が出てきます。その描写は見事。どんな音色なのか、思わず、耳をそばだててしまうほど。 小川氏はディテールまで繊細に表現してあってまるで本当にその楽器が存在しているかのような、そんな錯覚を抱きます。それは、この作品に限らずですが。 成長するに従って、脳の想像を司る部位が退化していくような気がする中、小川氏の作品は、その鈍化した部分を刺激してくれます。これからも、彼女の作品を読み続けたいと思いました。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
いい子のドロップ,
By 雨水 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 海 (新潮文庫) (文庫)
7つの短編が収録されています。「海」「風薫るウィーンの旅六日間」「バタフライ和文タイプ事務所」 「銀色のかぎ針」「缶入りドロップ」「ひよこトラック」「ガイド」 どれも違った魅力があるけれど、根本的なものでつながっている気がします。 私は「缶入りドロップ」と「ガイド」が特にすきでした。 「缶入りドロップ」では、幼稚園バスの運転手さんと子どもたちの交流が描かれています。 ほのぼのとした日常が、たった2ページで巧みに表現されていて微笑ましいです。 「ガイド」には不思議な職業の方が登場していて、物語に溶け込んでいます。 日常の中にほんのり異界が見え隠れする感じの書き方がうまいです。 巻末には、小川洋子さんへのインタビューも載っています。 個々の短編について語られているのでおもしろかったです。
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