たとえば、「『頭がいい』と『バカ』の差」について。2人は、記憶された情報を整理し、お互いを関連づけて、的確に表現できるかどうかや、「頭が真っ白」になるディスコミュニケーションの状態に陥るか否かなどのポイントに着目。最終的に、周囲との関係を遮断し、情報の入力をやめれば脳の働きはよくならないことを指摘している。ここで、自分の頭がどんな状態にあるかをチェックすることも可能である。
また、池谷は「脳は、ぜんぜん疲れない」「30歳以降に、脳の能力は飛躍的に伸びる」といった、脳に関する意外な事実を数多く教えてくれる。とくに記憶のカギを握るという「海馬」の研究の様子が述べられたところは、未知の領域に踏み込んでいくような興奮をもたらしてくれる。一方、そうした脳の科学を、クリエイティブな思考や生き方の問題などに押し広めて論じる糸井の話術はじつに巧みである。その知的好奇心のもち方には、見習うべきところが多い。
タイトルどおり、頭がよくなる可能性が科学的に証明されているほか、「よりよく生きる」ために頭をよくするという志の大きなメッセージが込められている。年齢とともに頭の働きも衰えると思い込み、マイナス思考に陥っているような人に、希望を与えてくれる1冊だ。(棚上 勉)
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多くの読者はこの本を読んで、「もっとがんばれるぞ!」とやる気をみなぎらせたと思う。しかしちょっと冷静になって考えてみて欲しい。この本を読めば、ほんとうに効率のいい働き方や生き方がわかってくる。また現代日本の労働環境がそれに反している事も。
そういう意味でこの本のコンテンツは、「楽しいから読んでみて」というノリで多く!の読者を引きつけるするだけでなく、「これは必読だ!」くらいの強さでアピールしてもいいと思う。特に経営学や学生の一般教養などに取り入れてもいいくらい、実は重要な真実が隠されている。
海馬は、記憶の製造工場である。夜眠っている間に、起きていて入ってきた膨大な量の情報を「役に立つ情報」と「役に立たないから忘れていい情報」に仕分けをするのである。作業の間は外界の情報を遮断する必要があるから眠りが必要で、6時間かかるという。役に立つ、立たないの判断基準は「生存」に対してである。したがって、記憶にとどめたい事柄は、それを生存の危機と結びつけるようにすればよいのだが、さてどうやって。
内容紹介としていくつかポイントを抜粋する。
・ものとものとを結びつけて新しい情報をつくっていくことが、脳のはたらきの基本です。
・脳自体は30歳や40歳を超えたほうが、むしろ活発になると言われているんです。
・脳はいつでも元気いっぱいなんです。一生使い続けても疲れないですね。疲れるとしたら、目なんです。
・脳はもともと思い込みの強い性質があるから、それをいかに崩せるかが、「頭がいい」ことのひとつのヒントかと思います。
・新規な刺激にさらされている人は、いつでも入力の判断をする海馬に刺激があるから、海馬の細胞が増えていく割合と消えていく割合とでは、細胞の増えていく割合が加速していく。
・やりはじめないと、やる気は出ない。やる気を生み出す場所は脳の側座核にあり、そこの神経細胞が活動すればやる気が出るという仕組みです。
おすすめである。大ヒットしたわけだ。厚そうに見えるが、とても読みやすいから半日で読める。
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