都会で夢破れ田舎に帰った若者阿嘉を主人公に、急造バンドのどたばた騒動とユーモラスな下町人情ドラマをからめ、バンドのメンバーが次第に結束してゆく。そして、反発しながら惹かれあう阿嘉と日本人である友子のラブストーリーは、よくあるパターンながら青春映画として良く出来ていて面白いです。
しかし、そこに敗戦後に台湾を去る日本人教師が、台湾の女性に宛てた手紙をめぐるエピソードが加わることで、台湾から日本へのメッセージに仕立てています。その、メッセージというのが、意外なことに日本人にとっては非常に『好意的』なものでした。
台湾からの引揚げ船の中、青年教師が台湾の少女への気持ちを綴った7通の恋文。「捨てたのでは無い 泣く泣く手放したのだ...」と綴ってはいますが、自分も一緒に日本へ向かおうと身支度整えて港へ来ている少女に対し、青年は船上に身を隠して台湾を去っていきます。この青年が少女にしたことは、戦後の日本が台湾にしたことそのもの。
届かなかった7通の手紙は、台湾というかつての日本の一部だった島への、今の日本からの手紙であって欲しいと、台湾の方々はそう想っていてくれるのかもしれません。
ご都合主義や突っ込みどころは結構あるし、説明不足なところもあります。でも、もう一人の友子さん探しと、コンサート本番。それが収束するクライマックスは本当に素晴らしい!!
演奏前、阿嘉が日本に戻ろうとする友子に言う言葉が非常に思わせぶりで、戦後に台湾を去る日本人教師と台湾女性との姿にダブリます。そして、演奏の大成功。
日本人は台湾を大切にしなくてはならなかったのに、冷たくあしらってきた。台湾の人々(特に戦中世代)は、愛憎両面あるそうですが、過去は過去としてそれでもなお、日本に期待し続けているということなんでしょう。
そしてこの映画が台湾で大ヒットした事実。若い人たちも共感したという、この事実だけでも胸を打たれます。そして、私たちにできることは、お互いをもっと理解すること。日本人と台湾人が一緒に日本語の「野ばら」を歌う場面に、その思いが表れている気がします。