第97回直木賞受賞
戦国時代が終わりを告げる頃。日本の海には二つの大きな勢力があった。
九州西北部を根城とする松浦党と瀬戸内海に覇を唱える村上水軍である。
対馬で育った笛太郎(父が海賊という出自を持つ)は、
朝鮮で活躍している海賊の通称"宣略将軍"(一度朝鮮王朝に降って官職をもらっている)が帰ってくるとの話を聞いた。
笛太郎は将軍に会い、その手下となった。とき同じくして、
薩摩からの船に乗っていた明国人雷三郎が捕まり、二人は揃って将軍の手下となった。
しかし二人は、村上水軍に捕まり、能島小金吾に預けられる。
その出会いがある運命の始まりだった。
商才はあるが、自分の船を持たない小金吾は、船を持ち、明国との商売を行うことを夢見ていた。
そこに飛び込んできたのが笛太郎と雷三郎だったのだ。そして…
目を見張るのは、松浦村上両海賊衆の生活や掟(おきて)、
海戦の調練などが克明に描写されていることだ。
当時の船の構造や操船方法、戦略、合戦場面、武器の数々も克明に描かれている。
日本の海洋冒険時代小説の嚆矢とも呼ぶべきものである。