74年発表の7作目。歴史的な名盤『危機』を完成し、グループのこの時期までの集大成とも言える3枚組のライヴ盤『Yessongs』発表後に発表されたスタジオ録音アナログ2枚組全4曲という大作。イエスの作品としても最も難易度が高いイメージがあるが、おそらくグループとして最も創作意欲が高く、勢いがあったあの時期でなくては作れなかったであろう、そして作っておいてもらって良かった作品だと思う。ある意味で特に収録時間という意味でイキすぎた作品と言えるが、その突出ぶりから熱心なイエス・ファンに愛されている作品でもあり、またプログレの全盛期を示す最良のサンプルの一つとも言えるかと思う。そして特筆すべきことは全曲をジョンとハウの2人で書き上げていることだろう。本作は作曲家スティーヴ・ハウにとっても一つのピークを示す作品となっており、彼の高い音楽性を知るにはもってこいだと思う。1−1.の冒頭は何やら読響の雰囲気もあり、そこから開放的なインスト部分に突入する部分はなかなか快感である。中盤からの森林のような雰囲気のメロトロンもたまらない。2−2.ではテープ・ノイズなどミュージック・コンクレート的な部分もあり。全体的に名盤『危機』よりも圧迫感が少なく、より開放感があるとは言えるが、無駄を削ぎ落とすのではなく、その無駄も音楽の一部として残したかのようなやや散漫な部分は確かにある。また比較的緩やかで牧歌的な部分が多く、テンションの高いロック的な部分が薄いのも期待外れとはなり得る。しかしながらイエスのメンバーであっても二度と作れないであろう高尚で上昇意識を強く感じさせる強い魅力は捨て難い。またイエスの中でもメロトロン度が高いところも魅力。個人的にはアンビエント的な空間芸術的な側面も感じる。作る方も聞く方もある種の修行のような作品だが、極限の作品だけに聞き応えも濃厚だと思う。