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海洋国家日本の構想 (中公クラシックス)
 
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海洋国家日本の構想 (中公クラシックス) [単行本]

高坂 正堯
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

高坂 正堯
1934~96。国際政治学者。哲学者・高坂正顕の次男として生まれる。京都大学法学部で国際法学者・田岡良一に師事し、卒業後ハーヴァード大学留学。1963年『中央公論』に「現実主義者の平和論」を発表して論壇に登場する。冷戦時代から共産主義国家には批判的で、現実に即した保守政治評価や国際政治観を表明した。専門は国際政治学、ヨーロッパ外交史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 259ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2008/01)
  • ISBN-10: 4121601017
  • ISBN-13: 978-4121601018
  • 発売日: 2008/01
  • 商品の寸法: 17 x 11.2 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 左党犬 トップ500レビュアー
形式:単行本
 2010年以降の「日本の立ち位置」はいったいどこにあるのか、これを真剣に考える人にとっては、いまこそ議論の出発点として振り返るべき論文集である。中公クラシックスという形で、古典として出版された意義は大いにある。

 本書は、いまから45年前の1965年、著者31歳のときの処女作である。
 単行本タイトルともなった「海洋国家日本の構想」と巻頭におかれた「現実主義者の平和論」だけでなく、「外交政策の不在と外交論議の不毛」、「二十世紀の平和の条件」、「二十世紀の権力政治」、「中国問題とは何か」、「核の挑戦と日本」の全7編、いずれも読み応えのある論文である。
 大半が雑誌論文として発表されたものであり、1964年当時の一般の知的読者向けに平明な文章で書かれているが中身の濃い、読み応えのある内容である。今回、初めて全編とおして読んでみて思うのは、時代の制約があるのは当然としても、本質においてはまったく古びていないことだ。たとえば日米安保条約について、現在の迷走する状況をあたかも予言しているかのような記述を目にしたとき、その透徹した「現実主義者」のまなざしには思わず恐れ入る。

 著者の論点が本質においてけっして古びていないのは理由がある。
それは、日本をめぐる国際政治的”状況”は大きく変化しても、日本がおかれている地理的条件に基づいた国際政治的”条件”が基本的に変化していないからだ。日本は地理的には「極東」でありながら東洋ではなく、開国以来の政策によって西洋世界の「極西」となったが西洋ではない。アイデンティティがはっきりしない宙ぶらりんの存在なのである。
 島国として大陸から距離があることが、著者は「東洋の離れ座敷」と表現しているが、この地理的条件のおかげで、中国文明、西洋文明、アメリカ文明の圧倒的影響を受けながらも、日本人による取捨選択を容易にしただけでなく、直接国土を蹂躙されることもなく今日までやってこれたのである。
 しかしながら、地理的条件からいえば欧州に対する英国に近いのにかかわらず、英国とは異なり「海洋国」としての意識が弱く「島国」のままではないか、というのが著者の懸念である。海洋によって世界とつながっている日本がとるべき道は、太平洋を圧倒的に支配する米国海軍のもと通商国家として知的に世界に貢献することではないか、と。

 あくまでも政治を権力の観点から捉え、イデオロギーでみることを排した高坂正堯は、現実追随主義ではない現実主義者であった。解説者の中西寛・京大教授のコトバを借りれば、それは「理念を実現するための手段を選択する上での現実主義」である。
 京都人特有の柔らかな語り口に潜む、現実認識と強靱な論理によって貫かれた本書は、政治の本質、国際政治の本質を考えるうえで、日本人に残された遺産であるといえよう。アクチュアルな問題を論じて本質について語った本書の諸論文は、今後も振りかえるべき古典として残っていくであろう。
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13 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
むかし、本論を別の書籍で読みました。一読の価値はあります。
書いた時期は古いのに内容には、さほど古くささを感じません(古いところが
無いとは言いませんが)。
特に、著者が政治学者なのにもかかわらず、科学技術の重要性に対する見識には
ハッとさせられました。

このごろ「海洋」と日本あるいは国家と銘打った本が出回っていますが、
これほど広い見識をもって論じられた本はなかなかありません。
この分野の本を読みたければ、まずこの一冊です。

それにしても海に囲まれ、海洋国家として生きていく必要に迫られているにも
かかわらず、相変わらず海に対する関心は低い。海に係わる人たちも、
山師かなにかのように、うさんくさげに扱われてしまう世の中です。
日本随一の海洋小説家、白石一郎氏が『海のサムライたち (文春文庫)』で
指摘しているように、鎖国の悪影響は未だに日本を呪縛しているようです。
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21 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By maykm
形式:単行本
 本書は、国際関係を国家間の力の関係から捉える現実主義的な観点から、諸国間の平和、力の政治の変質(政策遂行手段としての軍事力の相対的な役割低下と、経済力や世論を支配する力の相対的な役割増大)、核兵器や軍事力の評価(そうは言っても軍事力の後ろ盾がない紛争解決の手段を人類はまだ持たない)、日中関係、日本の進むべき道等を論じたもの。奇を衒わずに物事の両面性のバランスをとるように書かれているので、曖昧な論点が残る部分はあるが、古典的な著作の教養に裏打ちされた常識的な視点が本書の読み易さに貢献している。例えば、ゲリラ戦を突如社会に「万人の万人に対する戦い」を持ち込むものと位置づけ、時に正義の戦いとして正当化が企てられることを書いている点や、国力として基礎科学や科学技術、社会工学を含む知的能力によって人々の基本的欲求を満たすこと(特に開発途上国への技術移転や先進国における技術高度化)の重要性増大を指摘している点は今もなお新鮮だ。
 著者は日本を極東に位置しながら極西とも呼べるような東洋とも西洋とも完全に自己同一化できない国であり、歴史的にも東洋の離れ座敷として必ずしも中国の文明に組み込まれていなかったという観点を採る。梅棹忠夫の『文明の生態史観』の地域区分とも似ていると思うが、大陸ヨーロッパとの関係で似たような地理的位置にありながら、ヨーロッパの外で通商活動を展開して大国となったイギリスを範に、日本も海洋国として世界大の視野の広がりをもって国外に積極的に出ることが重要であると説く。提言としては、通商政策と開発援助を連携させることや海の調査開発の実施等を挙げる。日本とイギリスとの対比という意味では、言語、金融活動、経験主義的なアプローチという面で問いを立てることも面白いかもしれない。また、国内派の国際派に対する無理解による対外政策の失敗という点は、現在も多くの組織で課題であると思う。
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