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海戦(伏字復元版) (中公文庫)
 
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海戦(伏字復元版) (中公文庫) [文庫]

丹羽 文雄
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

昭和十七年八月八日の深夜、第八艦隊はソロモン海域でアメリカ海軍と交戦、多大な戦果をあげる。三十九歳の著者は旗艦「鳥海」に乗りこみ、この海戦に報道班員として従軍、表題作を成した。兵士たちの日常、実際の戦闘、そして戦傷者の姿を描破しながら、戦争の本質を表現した力作。

登録情報

  • 文庫: 215ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2000/08)
  • ISBN-10: 4122036984
  • ISBN-13: 978-4122036987
  • 発売日: 2000/08
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 412,784位 (本のベストセラーを見る)
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By ワクロー3 トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
 「海戦」の巻末に保阪正康が「丹羽は海軍報道班員としてペンによる戦争参加という役割を担わされている立場での執筆」と言う点を留意するべきと述べているが、留意する必要はないと思う。丹羽さんは、「担わされている立場」という実感は、戦闘中はきっとなかったはずである。

 苛烈な任務を黙々とこなし、訓練通りに実行し、すべてをなしとげて帰還してきた第八艦隊将兵とともに、作家として、ともに戦闘したはずだ。彼は立派に「海軍報道部員」としての職責を果たしている。なんらの恥じる点もない、作家によるみごとな海戦の記録と思う。

 戦闘の記録は、兵士そのものが語るものと、新聞記者やニュース映画の編集者など、現場を文字や映像で再現した人々によるものと大別される。しかし、作家が海戦の、それもとびきりの激戦の現場にほうり出されて戦いを体験し、生還して著作にする例というのは、めったにないことである。丹羽文雄は、当時すでに定評ある作家だったから、その偶然性はなかなかのものだ。

 ミッドウエイ海戦で主力4空母を失ったが、まだ強力な海軍を擁していた帝国海軍。ガダルカナルに上陸したアメリカ軍をたたくため、第8艦隊が急行。輸送船団の護衛にあたる米英豪の連合軍艦隊を撃破した海戦。

 彼は、敵弾を受けた旗艦・鳥海の艦橋で、従軍作家としての任務を果たしていたのだ。運が悪ければ戦死していた。それほどの状況だった。

 そういう意味では、「海戦」は、作家が直接描いた戦記という点で非常に希少性がある作品なのである。
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 報道班員として重巡洋艦「鳥海」に乗り組み、第一次ソロモン海戦に従軍したときの私小説。事実を語りながら内面と対峙する丹羽の文体なので冷静に読ませる。ほんの数メートルというところで命拾い。そのためでもないだろうが、事実長生きした。
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形式:文庫|Amazonが確認した購入
 海戦の従軍記といえば、ミッドウェー海戦の牧島貞一氏が有名だが、本書は2005年に百歳で没した文化勲章受章者の作家、丹羽文雄氏の記者時代の貴重な従軍戦記である。初出は昭和17年11月の『中央公論』であり、軍機密にあたる部分を検閲で伏せての発表となった背景を持つ。

 本文中で著者も語る通り、どのような規模や局面であろうとも、戦争の記録というものは実体験には敵わない。砲声、吶喊、硝煙の臭い、そして傷者の血肉と呻き声…。海戦の中で著者は、20糎主砲の斉射の轟音に驚倒し、凄まじい光芒に目をうばわれ、爆風に叩きつけられ、破片創を蒙り…。戦闘後に士官達から激賞された程の貴重な体験をした。

 それでも伝わらない。著者はあくまでも軍人ではなく素人の目で海戦を活写する姿勢に徹しているが、いくら言葉を尽くしても、戦場の実態を文章で伝えることは無理なのである。

 全体の文章にも、どうしても戦友愛や滅私の忠勤を殊更強調するきらいがある。またラバウル帰港直前に潜水艦に撃沈された重巡「加古」にも触れられていない。海軍の後援を受けているため仕方ないのだが、書けなかった事などを盛り込んだ改訂版を戦後書いて頂いていればより興味深かったと思う。ただ、戦場と同じように我々が知り得ない、士官室やガンルーム(士官次室)、艦内の様子、戦闘中の艦上の将兵の行動、ラバウル港内の風景描写などは非常に優れている。

 本書には他に小品二作が収録されているが、その中にぼろぼろの服装をした連合軍捕虜の描写がある。著者は搾取と強圧、傲慢の英米人の成れの果てという様な表現をしているが、自らが重巡「鳥海」に乗ってすぐ間近に見たガダルカナルで、連合軍捕虜たちを遥かに越える悲惨な生き地獄を、この後すぐに友軍が味わう運命になろうとは、皮肉としか言いようがない。正義や主義の正誤ではなく、戦争は敗けたものにより過酷で悲惨な境遇を強いるものなのである。戦場で敢闘し、奮戦し、猛訓練の成果を発揮し、傷病と犠牲の辛酸を舐めるのは、何時でも何処でも最前線の将兵たちであった。
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