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海底牧場 (ハヤカワ文庫 SF 225)
 
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海底牧場 (ハヤカワ文庫 SF 225) [文庫]

アーサー C.クラーク , 高橋 泰邦
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

21世紀、世界連邦食糧機構の海務庁牧鯨局は、食用の鯨を海で放牧し、人類の食糧需要量の一割以上をまかなうほどになっていた。その海底牧場で、牧鯨者として鯨を管理する一等監視員ドン・バーリーは、新人として配属されてきたウォルター・フランクリンの訓練をまかされることになった。だが、フランクリンにはひとに言えない過去があった…海に生きる男たちの波瀾に満ちた運命を描く巨匠クラークの感動的な海洋SF。 --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

高橋 泰邦
1925年生、1947年早稲田大学理工学部中退、作家、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 304ページ
  • 出版社: 早川書房 (1977/02)
  • ISBN-10: 4150102252
  • ISBN-13: 978-4150102258
  • 発売日: 1977/02
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.8 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 659,412位 (本のベストセラーを見る)
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7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 この作品に五つ星つけたら「えっ?」という人もいるだろう。クラークと言えば・・・と、指折り数えていく中で、多くのSFファンがこの作品を何番目に数え挙げるというのか。ひょっとして、忘れられているかも知れない。それほど、クラークの作品地位としては、地味なスタンスだ。

しかしちょっと待ってほしい。この地味なテーマ、渋すぎるアイデアで、他の何人の作家がここまでドラマチックな物語を構成し得るだろう。しかもこれは、SFというジャンル以外では全く完成することのない、繊細なドラマだ。生半可な成長テーマなど消し飛ぶ、思いつきの未来社会テーマなど比較にならぬ、リアルなサイエンス・フィクションの傑作。

ちなみにジュブナイル版もありますが、第一部で終わっちゃってます。友情テーマにしたかったんでしょうか。

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By Fo4ts
形式:文庫
「海底牧場」初版は1957年、アーサー・C・クラークの海洋物SFです。2008年に巨匠クラークは世を去りハヤカワが名作セレクションと題して追悼したものを入手していましたが今更ながら読み終わりました。
21世紀の人類が牧畜ならぬ鯨畜を行い、食用の鯨を海底で家畜化し食料自給量を賄うという話です。世界人口の急増に伴い将来的に必ずや起こるであろう食料の奪い合い、穀物(小麦、米、とうもろこし、じゃがいも等)の争奪などこれからの人類が直面するであろう問題も踏まえつつ興味深く読みました。
要は人間が牛を飼うのと同じく海中で超音波柵やソナー(磁場)を使って一定の牧場に囲うというものですね。鯨にも種類がいてシロナガスクジラ、ザトウクジラ、マッコウクジラなど様々なものが登場します。牧羊犬ならぬ牧鯨魚(シャチ)など感覚的には陸上と同じ。
(159、10行)「昔アメリカの中西部が開拓された当時に、自作農と牧畜業者の間で見られた競争意識を~」海底牧場が出版された1957年代には既に牛一頭を生産するための飼料(とうもろこし等の穀物)に掛かる経費と牛一頭当たりがもたらす経常利益の対立は起こっており、それをクラークは鯨で応用している。
捕鯨反対という論調よりも純粋に食料自給生産を賄う上で、鯨を飼育する為に必要なプランクトンやオキアミなどのコストの話も出ており全く同じ。今も同じような問題が解決されてません、肉食止める→大豆ハンバーグにする→人類が全員菜食に切り替える→大豆などの穀物生産が追いつかない。
また乳牛ならぬ乳鯨などクラークが設定した世界では丸きりこの様な感じでした。

(325、8行)「分離式イオン交換フィルターの完成によって、金属不足の悪夢は、永久に解消されていた」最近韓国で海水からリチウムを採取して実用化することに世界で初めて成功したと報じられましたが、こんな感じで海洋資源全般に於いての開発が立ち遅れているのが現状です。実際、今の人類では鯨牧は技術的に不可能ばかりか倫理的に問題視される有様で…一部の環境保護団体と名乗る過激派の存在もあってか絶望的でしょう。

鯨肉と言うものを食したことの無い世代なので、鯨牧という奇想や着想に面白みを感じたり海洋ものに惹かれる方は読めると思います。ただ冒険譚ではジュール・ヴェルヌ「海底二万里」や奇想では安部公房「第四間氷期」などの方が上であり少々退屈には感じました。それでもクラークの先見性には驚くべきものがあるので牧鯨有りだなと思わせてくれる一品です。
このレビューは参考になりましたか?
7 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 樽井 トップ500レビュアー
形式:文庫
 先日お亡くなりになった、アーサー・C・クラーク氏の名作が復刊というか増刷されて出回っていたので早速購入して読んでみました。この本、イギリス人の著者によるかれこれ数十年前の作品なんですが、現状の日本と国際社会の海洋資源と鯨の利用についてのIWC等の現状を考えるとき、非常に皮肉な一冊となっており感慨深いものがあります。
 というのも、主人公のフランクリンが転勤で勤めることになった世界政府の食料庁では海洋資源の徹底管理を行い、鯨の養殖と捕鯨で世界の全食料の10数パーセントを賄っているからです。その未来社会、国際紛争もなくなり世界政府が統治して火星にも入植が始まっているような未来世界では、地上の農耕だけでは全人類の食を賄うことができず、海に大きな食料資源を求めるようになり、海での農場ともいえるプランクトンや小さなエビなどを養殖する部門と、鯨をまるで牛や羊のように放牧して育て養殖する部門とに別れており、フランクリンはそちらに所属することになります。
 この物語はその彼と鯨との関わりを、彼が鯨の監視員として研修をうける研修期、白鯨に出てくるような巨大なダイオウイカ(実際にこの種のイカは数十メートルになります)を捉える冒険期、そして最期に鯨を捕獲しなくてもある方法で食料自給が出来るようになるのではという誠次決断を迫られる最終期と大きく三つに分けて描かれています。そういう構造は、一種のビルディング小説として読めますが、根っこのところでは海洋冒険ものですので、理屈で考えるのでなく、鯨の監視員としての主人公と一緒に彼の活躍や成長を楽しむのがよいでしょう。
 最期の最期のほうで、仏教世界の導師から主人公は捕鯨をやめて欲しいと思う理由として一つの意見を提示しますが、それが現実世界で今迄きいてきた捕鯨反対の色々な意見の中でも一番印象的であるというのは皮肉であるし愉快であるとも言えます。そのあたりについては、是非読んでみて下さい。
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