小学生の頃に読み耽ったものである。
最近読み返して見ると この本は小学生には難しい事が良くわかった。確かに潜水艦で世界の海を渡り歩くという話は 小学生にも十分面白いのだが それは舞台設定だけの話だ。やはり 本作の主眼はネモ船長の「孤独」にある。それを理解することは 小学生はおろか 20歳代でも難しい話である。
ネモ船長は地上に絶望して ノーチラス号で海に逃れる。どのような経緯で ネモ船長が絶望に至ったかは分からない。彼は オルガンを弾き 読書家であるという芸術家であり 同時に 何かに憑かれたかのように殺戮を繰り返す暴君でもある。この両義性がネモ船長の性格を複雑にしている。人を殺し それを悔やんでオルガンを弾くという姿は誠に鮮烈なイメージだ。書いてはいないが 曲もバッハしかありえないと今でも思う。
海底二万里は その後の多くの人に影響を与えた。「潜水艦の中に潜む神」という切り口で 様々な作品が生まれたことはその後の歴史である。その意味で 海底二万里の価値は大きい。
小学生で「卒業」出来る本ではない。是非 再読をお勧めする。