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もう少し、具体的に書きます。この作品は、主要な4人の登場人物の内部独白を短い断片に分け、連想の糸によって並び替え、つなぎ直されています。しかも、誰の独白か判らないように、わざと三人称の表示にされていたりして、慣れるまで大変かもしれません。しかし、作者にも何らかの意図があっての作品構成なのですから、ここは無心になって読み進めるのみです。すると、不思議なことに、バイオリンのテーマをヴィオラやチェロが受けて、変奏していく弦楽四重奏曲のような味わいがあることに気づきます。しかも、三人称表示の部分が、誰の心にも共通している部分のように感じられ、通奏低音のような役割を果たしていることに気づきます。読了後、メビウスの輪のように不思議な円環を閉じる、まるで生き物のような時間の流れを感じることができたら、多分最高の読書をされたことになると思います。
他のレビュアの方で、愛についての記述についていけないという感想がありましたが、それは、私にもよく解ります。でも、発言はあくまでも作中人物のものであり、作者のものではありません。福永さんは、作中の男性からちょっと距離をおくことがあるので、要注意です。
「人間は意識的に生きているつもりでいる無意識的な存在なのだ。」・・・「お前がそれを忘れたとしたら、それはお前が無意識に忘れることを望んでいたからだ。」・・・この作品を読み返すたびに、「運命」や「偶然」といった単語だけでは説明できない、我々の無意識の深さとその結果が織りなす現実世界について改めて考えさせられる。
愛に疲れたあなたに、この一冊をぜひお勧めします。
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