中心市街地活性化法に基づき市町村が基本計画を作成したものの,事業は必ずしも順調でない。実施主体となるタウン・マネジメント機関(TMO)を設立するための人材が不足していたり,肝心の商業者などの意欲が低かったり,問題が多いためでもある。
海外の都市はこの問題にどう取り組んできたのだろうか。本書は,欧米18都市での事例研究である。取り上げたのは米国のピッツバーグ,サンアントニオ,デンバー,英国のシェフィールド,ノッティンガム,マンチェスター,ドイツのダルムシュタット,ウルムなどの各市である。米国と英国における中心市街地再活性化のための施策も紹介している。
日本政策投資銀行の海外駐在員が直接,現地に足を運び日本人の目で取材しただけに,参考になる点が多い。
欧米と日本の取り組みの違いの一つは,本書の終章で述べているように,欧米の場合,自分の街の市街地がなぜ空洞化してはいけないのかといった議論を公の場で行い,その費用をどの程度負担するかについて市民の間に合意を形成している点である。これに対して,いま日本に生まれつつあるTMOは,商業者が中心で,住民が株主などとして参画している例は数えるほどである。
つまり,欧米では民間と市民が主体になっているのに,日本の場合は自治体や国が前面に出て,民間の盛り上がりに欠けている。
読者は本書からタウン・マネジメントの真の精神を学んでほしい。 (常磐大学 コミュニティ振興学部 教授 井上 繁)
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